Bad Bunnyハーフタイムショーをきっかけに考えるプエルトリコの歴史と今

プエルトリコ

Bad Buunyとは

バッド・バニー(Bad Bunny)は、プエルトリコ出身のラッパー、歌手、俳優(1994年3月10日生、31歳)。全編スペイン語の楽曲でビルボードやグラミー賞を席巻するラテン・トラップの牽引者。Spotifyなどで驚異的な再生数を記録し、2026年にはスーパーボウルでパフォーマンスを行うなど、現代世界で最も影響力のあるアーティストの1人です。(出典:wikipedia)
バッドバニーはプエルトリコに誇りをもっており、音楽を通じて様々世に訴えてきました。プエルトリコの歴史を知ることでバッドバニーの曲の深みを感じるきっかけになったらと思い本記事を執筆しています。

プエルトリコとアメリカの歴史

プエルトリコにはタノイ民族という先住民がいましたが、スペインの入植後征服され、黒人奴隷が連れてこられたりと、他のカリブ諸国と共通した歴史をもちます。1898年の米西戦争でアメリカが勝利し,スペ インの植民地からアメリカの統治下になり、現在はアメリカの自治領という状態です。ハワイのように州ではなく、住民は米国市民権を持ちますが、大統領選挙権や連邦議会の議決権を持たず、外交・軍事は米国が管轄します。
独立国家となるか、アメリカの51番目の州になるかで住民投票されており、2020年の投票では、独立州となることが多数派を占めました。他方、アメリカ化することでプエルトリコのアイデンティティが徐々にうすまってしまうのではないかという懸念も同時にあるようです。
また、住民投票の結果がどうであれ最終的に決定するのは米国議会ですので、そもそも議決権をもっていない、プエルトリコの民意が反映される仕組みは整いきれていないのが現状です。
参照

A 122-year love-hate relationship: Puerto Rico will vote on statehood – again | CNN Politics For the sixth time, Puerto Ricans will be asked to vote on st edition.cnn.com

富裕層にとってのタックスヘイブンとしてのプエルトリコ

2015年プエルトリコは債務不履行になり、財政状況を健全化するという名目で様々な経済施策が実施されています。その一つに税制優遇制度(Act 60)
があります。個人投資向けの優遇としてプエルトリコ国外から移住してくる投資家に対し、不労所得への課税を免除するというもの、輸出サービス企業向けの優遇としてプエルトリコから国外(米本土を含む)へサービスを提供する企業が税制上優遇を受けます。一見よさそうな制度ですが、地元民への恩恵よりも、本土からの移住者で物価が高くなり、富裕層は不動産投資として民泊を運営したりと、負の側面が多く出てしまっています。
本土から海外からの移住者が運営するエアビーの清掃員の仕事は地元民、実入りの良くない肉体労働は地元民という構図があるのが現実です。外国人の投資で住宅の値段があがり、地元民が家を借りれない状況が起きています。(東京でも似た事例があるかと思います)。

参考(Turista(旅行者)という歌のMVがその様子をよくとらえています)

プエルトリコの停電問題

停電の頻発もプエルトリコを代表する問題です。2017年にハリケーン「マリア」が直撃した際は送電網が壊滅的な被害を受け、数十万人が数カ月間、電力なしで暮らしたといいます。送電網や発電所のメンテナンスなどにも課題があるとのことで、LUMA Energyーという民間会社が2021年にプエルトリコ電力公社(PREPA)から電力供給の管理を引き継ぎました。
参照

プエルトリコ、大みそかに大規模停電 依然7割以上が電力喪失 米自治領プエルトリコで12月31日、大規模な停電が発生した。送電網の障害が原因とみられる。ピエルルイシ知事がX(旧ツイッタ www.cnn.co.jp

現在、慢性的な停電、頻繁な値上げ、そして透明性の欠如を理由に、住民から激しい批判を受けています。

リカルド・ロセジョ知事のプエルトリコを馬鹿にしているととらえられてもしょうがないメッセージの流出

甚大な被害を与えたハリケーン「マリア」の義援金の汚職が問題となっているなか、当時州知事であったロセジョ知事が、ジャーナリスト、同性愛者、ハリケーン被災者らをからかう内容のテキストメッセージを複数の男性当局者と送り合っていたことが暴露され、民衆の怒りを買いました。メッセージは2週間前に数百ページ相当が漏えいしたものです。

米領プエルトリコ、知事辞任求め大規模デモ 歌手R・マーティンさんも行進 【7月23日 AFP】米自治領プエルトリコの首都サンフアンで22日、リカルド・ロセジョ(Ricardo Rossello) www.afpbb.com

このデモにはBad Bunnyも参加。プエルトリコを代表する歌手Ricky Martin(日本では郷ひろみさんが彼の局をカバーしていましたね「アーチーチーアーチー♪」ってやつです)。
参考

プエルトリコに誇りをもたせてくれるバッドバニー

歴史上も現在も、アメリカや市場経済、人災、災害、の影響を激しく受けているプエルトリコ。そんな中、プエルトリコのアイデンティティを前面に押しているバッドバニーがグラミー賞を受賞し、NFLのハーフタイムショーというアメリカいちの舞台でスペイン語のみで歌っているバッドバニーを見て、プエルトリコの人はどれだけ自分たちに誇りをもてたことでしょうか。その気持ちは計り知れません。
NFLのハーフタイムショーでは、植民地時代の重労働を想起させつつも、プエルトリコのアイデンティティともなっているサトウキビ畑から始まり、後半の停電を直すシーン、様々な大変さを抱えながらも楽しく生きようとしている、プエルトリコの人々の姿をまじまじと魅せてくれました。
最後のメッセージでは「アメリカに神のご加護を」といったあとに、南北アメリカ大陸の国々の名前を挙げました。アメリカというと日本ではUSAを思い浮かべますが、アメリカは南北大陸も示しますので、それを白人観客が多いNFLという舞台で改めて認識させたのも、色々な国や文化を尊重しているバッドバニーならでは心に響くシーンでした。その中には、キューバやハイチも入っていたことも、胸が熱くなりました。

なお、発言した国はこちら
“Chile, Argentina, Uruguay, Paraguay, Bolivia, Peru, Ecuador, Brazil, Colombia, Venezuela, Guyana, Panama, Costa Rica, Nicaragua, Honduras, El Salvador, Guatemala, Mexico, Cuba, República Dominicana, Jamaica, Haiti, Antilles, United States, Canada,”そして最後に「プエルトリコ」と。

おわりに、バッドバニーが言うからささる「The only thing more powerful than hate is love(憎しみより強力なものは愛だけ)」

この言葉をバッドバニーが言うからこそ重みがある。グラミー賞の受賞式で、アメリカの移民を取り締まっているICEに対して、批判をしたバッドバニー(ICEが検挙の手段やそれに支持を与える米政権は人権を無視しているという批判がある)。静かに、しかし怒りが煮えたぎっていることも伝わるそんな物言いでした。ICEの取り締まりによって、プエルトリコや中南米出身の住民が追い出されていくシーンを見ていたらそんな気持ちになるでしょう。他にも上述したようなプエルトリコの歴史、アメリカ本土との関係に関して思うこともあるでしょう。
そんな中、最後までスペイン語で歌ったNFLではバックスクリーンに英語のメッセージがうつされました。
「The only thing more powerful than hate is love(憎しみより強力なものは愛だけ)」
色々な思いをもって、プエルトリコをラテンアメリカを背負っているバッドバニーが言うからこそしみるメッセージでした。

NFLの動画はYouTubeを開いてご覧ください

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